ランドスケープデザインというドライテックの新たなステージ 隈研吾建築都市設計事務所

~東洋大学赤羽台キャンパスに採用された理由~

隈研吾建築都市設計事務所 渡辺 傑 氏

東洋大学赤羽台キャンパス新校舎設計監理共同企業体
(隈研吾建築都市設計事務所//戸田建設一級建築士事務所)

雨水を地中に浸透させる透水性コンクリート「ドライテック」。

ドライテック公式サイト:https://drytech-japan.com/

これまでの採用事例は、小規模でも施工できる透水性舗装として住宅の駐車場や犬走などの外構への活用が多かったドライテックですが、昨今は国のグリーンインフラの推進やゲリラ豪雨などの気候変動対策を背景に、住宅向け以外の施工ニーズが非常に増えてまいりました。

2021年1月竣工の東洋大学赤羽台キャンパスでは2000㎡を超えるドライテックを採用いただきました。設計監理を担当した、隈研吾建築都市設計事務所の渡辺傑さんに採用に至った背景や経緯についてインタビューさせていただきました。

東洋大学赤羽台キャンパスはどのような設計コンセプトだったのでしょうか?

もともと敷地にあった東洋大学の付属高校が白山キャンパスに移り、その敷地に新しく創設される学部と郊外のキャンパスからいくつかの学部が移転して赤羽台キャンパスを新たにオープンするという計画です。2~3万㎡規模の3棟の建築を、Ⅰ期からⅢ期に分けて建設していて、今回ドライテックを採用したのはⅡ期工事です。

高齢化は既にどの地域においても課題ですが、赤羽駅からの小高い丘に位置するキャンパスへ学生の流れを作り、学生や地域住民の交流・賑わいを感じることができるようなあたたかさや手触り感を感じさせる街の景観を重視していました。駅からつながる緑道と連続することができる「なかみち広場」や、ベンチとしても使え、さまざまなアクティビティを誘発する大階段「トポテラス」を設けることで、学生や地域住民がくつろいで交流できる空間も作ろうというコンセプトで、テーマを「つなぐ」としました。

コロナの影響が落ち着いてきたこともあってキャンパスに人が多く集まるようになりましたが、屋内で勉学に励むだけでなく、外で本を読んだり、友達同士でご飯を食べたり、そこに集まる人たちが思い思いの時間を寛いで過ごしてもらえるようにしたいと考えていました。

今回ドライテックを採用した経緯を教えてください。

今回のプロジェクトの重要なテーマの一つとして「環境」が挙げられます。やはり地域と大学をつなぐ役割を担うプロジェクトですので、リサイクル製品の活用や環境保全などを考えた対策が必要でした。Ⅱ期工事で採用したドライテックの大きな役割は「透水性」です。昨今見られるゲリラ豪雨や台風による水害など地域環境の負荷を軽減させる透水性舗装製品を色々と探し、透水性能や耐久性、強度の条件を満たすともに長年の実績があるドライテックを選びました。Ⅰ期工事で木材チップを活用したパーミアコンも採用しましたが同等性能の違う材料を使いたかったことも理由の一つです。

雨水を地中にそのまま還元できる透水性舗装にすることで雨水貯留浸透桝と同等以上に機能するので地下ピットの容量も小さくし、排水溝の設置も軽減できたので相対的にコストも削減できました。

中庭広場にある大階段のトポテラスの横にもともと植わっていた樹齢の長い立派な桜の周囲にも舗装を施す必要があるのですが、枯らさないように透水性舗装としてみようとしたのも一つのポイントでもありました。

ドライテック公式サイト:https://drytech-japan.com/

学生や地域住民が集まるような広場とすることをビジョンとして持っていたので、水たまりのできない透水性舗装は快適な路面環境を形成できるので非常に有効でした。工業製品のような規格品とは異なり、手仕事感のある仕上げ材は温かみも感じられますし、特に今回のプロジェクトでは大学側の要望もありリサイクルなどの環境保全にも観点を置いていたので、廃棄物として扱われる色のついた廃タイルの破片を舗装表面に散りばめることによってグレー一色の冷たい感じではなく土を思わせる雰囲気が得られ、桜並木ともマッチした温かみのあるデザインになりました。

東洋大学赤羽台キャンパスに採用した廃タイルの破片を散りばめた撒き石仕上げのドライテック

東洋大学赤羽台キャンパスに続いて富山の商業施設「ヘルジアンウッド」の駐車場でもドライテックをご採用いただきましたが、今後の建築デザインにおいてドライテックや建材に期待することはどのようなことでしょうか?

透水機能や耐久性、強度においては申し分ありません。あとはよりナチュラルなテイストなど意匠性にもう少し幅を拡げられれば利用シーンは広がると思います。デザイン的にもっと自由度が高く、外構舗装の枠を超えるような製品になってほしいと思っています。

そもそも建築は、その地域の人たちの生活のあり方や魅力的な未来の社会、すなわち人のための豊な環境を作ることで、それが時間をかけて文化になっていく、そういうものが本来の建築の在り方だと思いますが、一方で商業的な部分が目立つ建築がしばらく続いていたという印象です。それがコロナによって人と会わなくなったり、外に出かけなくなったりしたことで、本当に大事にすべきことに気づき始めたのではないでしょうか。これからはそのような人の根源的な想いに応えていくような建築やプロダクト、サービスが求められていく時代なのではないかと思います。

ドライテック公式サイト:https://drytech-japan.com/

Healthian-wood(ヘルジアン・ウッド/富山県立山町、カラー仕上げ:ハニークリーム)

インタビューを通じて、お施主様、設計事務所ともに建築に求める要望が新たなステージに入りつつあることを実感することができたとともに、透水性コンクリートの活用ケースがさらに多様化しながら拡大していく可能性をあらためて認識することができました。

ドライテック公式サイト:https://drytech-japan.com/

全国自治体においては雨水貯留浸透施設の設置推進とともに透水性舗装に対する助成金を活用できるケースも徐々に増えているなど社会の仕組みも変化しつつあり、東洋大学赤羽台キャンパスがある東京都においては大規模面積の排水処理に関する法的要件も以前より細かくなったとのお話も聞くことができました。

一般個人の住宅にドライテックを採用いただいた積み重ねが隈研吾建築都市設計事務所のような有名建築家に採用いただくまでに至ったことはとても感慨深く、さらなるステージに向けてより多くのお客様はもちろん、供給サイドの全国の生コンプラントや施工業者の方々の取り扱いが広まっていくことを期待しています。

ドライテックのメーカーとして強度などの耐久性の増進を図っていくことや、より施工しやすい材料の開発、施工性の向上など改善改良すべき課題はまだまだありますが、本インタビューでアドバイスをいただいた意匠材メーカーであることも製品開発に活かして、さらに多くの施設や条件下で幅広く採用される製品へと進化させられるよう追求し、社会課題の解決に役立てるよう努力してまいります。

最後に、お忙しい中インタビューに快く応じていただきました隈研吾建築都市設計事務所の渡辺さんをはじめ、撮影のご協力をいただきました東洋大学赤羽台キャンパスの皆様に感謝申し上げます。

撮影:東洋大学赤羽台キャンパス/浜田昌樹/公文健太郎

   Healthian-wood/浜田昌樹

聞き手:杉山成明(㈱フッコー 代表取締役)

ドライテック公式サイト https://drytech-japan.com/

ドライテック公式インスタグラム https://www.instagram.com/drytech_fukko/

この記事を書いた人
株式会社フッコー 代表取締役社長 一級建築士
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