「マヂックコート」
当社の代名詞的な製品で、1973年発売から約50年経過しております。
マジック?マヂック?
「シ」に「 ゛」なのか、「チ」に「 ゛」なのか、「ジ」でお問合せいただくことが多いですが、正確には「ヂ」が正解です(笑)。
イメージで言うと「ブリヂストン」や「ビルヂング」のように、Dの発音をそのまま表現した昔の呼称ですね、歴史を感じますし、個人的に好きです。
さて我々の建設業界、家電やITに比べるとスピードはとても遅いとは言われますが、ここまで永く販売されている製品も、さすがのこの業界にも少ないかと思います。
今日は、そんなマヂックコートの誕生について、ご紹介したいと思います。
我々フッコーは、東京福幸壁材工業として1955年に誕生いたしました。
戦後、焼け野原となった日本をそして首都東京を復興する使命をもって創業したのですが、創業から1970年代までは繊維壁や綿壁、聚楽壁などを中心に製造しておりました。
昔、「さあ家を建てよう」となりますと近所の工務店や大工さんにお願いして、壁に何を塗りたいかの指定もないままに左官屋さんが塗り壁を仕上げて、家が完成するのが一般的で、まだそこまで意匠にこだわれるほどの情報もなく、またそういう「モノ」もない時代でした。
1970年代に入り、徐々に西洋の文化やファッションが入り始め、建築でいえばモダンからポストモダンへ変化し、より多くの建築様式やそれに伴った仕上げの意匠が求められていました。
また併せて内装には「壁紙」、お風呂は「ユニットバス」、キッチンは「システムキッチン」が主流となりつつあり、戸建ての現場において左官屋の活躍する場が少なくなっていました。
では左官材(塗り壁材)ではどうだろうか?
外装では漆喰塗やリシン掻き落としなどが主流であり、色やテクスチャーなど制限されたものばかりで、内装においては繊維壁や砂壁、あとはペイント系のものしかなく、建築家の求めるような多彩な建築表現に合うような仕上げ材は存在しませんでした。
そのような背景で「マヂックコート」の誕生です。
まずそのネーミング、冒頭の写真などにチラホラと入り込んでいるひげのおじさん、彼の名前は「マヂックシェフ」。
アメリカの主婦に絶大なる人気を誇す老舗キッチンブランドです、ひげのおじさんはそのキャラクター。
そんなマヂックシェフの由来は、冷蔵庫を開けて、ある材料で様々な料理を調理する主婦はまるで「魔法使い」のよう。
魔法使いの主婦を助けるキッチンが「マヂックシェフ」なんです。
では、「マヂックシェフ」と「マヂックコート」、そこにはどういう共通点が???
冷蔵庫を開けて・・・、とイメージは等しく、ひとつの材料で多くの色と多彩なパターンを左官職人という魔法使いが作り上げていく。
魔法のような材料、それが「マヂックコート」です。
さて、そんな「マヂックコート」の人気の「HMパターン」。
これは1978年竣工の「ハナエモリビル」のショー会場の内装仕上として建築家の丹下健三氏のイメージを再現し「HM(ハナエモリ)」と命名されました。
約45年たった今も一番人気の標準パターンとして健在であり、建築家とともに我々が歩みだした第一歩と言っても過言ではありません。
この採用実績により「マヂックコート」の認知度が高まり全国的な普及へと繋がったのです。
その後も耐久性向上や環境に配慮した素材や吹付工法の開発など、建築家の要望に応えたクォリティと開発コンセプトを守り続け現在にいたります。
「マヂックコート」。
これからも魔法のように日本中の建築を多彩に表現していくでしょう。